導入企業名:黒龍酒造株式会社

導入ソリューション:MSフィルター(半自動機、脱水機)+火入れ機

導入目的:作業負担軽減&作業従事者削減下での品質向上

MS Filterの導入背景

黒龍酒造株式会社 醸造部醸造課課長 小林大典様

ろ過は本社蔵、
火入れ、貯蔵は兼定島酒造りの里


当時、ろ過を担当されていた小林様は、作業場所が分かれていることに非効率性と課題意識を持たれていました。
そんな折、黒龍酒造で本社蔵の新設が決定します。
そこで、小林様は、ろ過工程、火入れ、貯蔵を同一の場所で行う提案を行い、実施されることになりました。
その際、せっかくならと旧来式で作業負担も大きく、老朽化も進んでいた、ろ過機自体の更新検討にも着手し、弊社へお問合せを頂きました。

ろ過工程での課題意識

当時、同社では、多くの酒造でも使用されている垂直ろ板型の手動ろ過機を使用されておりました。

小林様
毎回分解洗浄が必要で、洗浄、ろ過準備作業に時間が掛かっており、作業者の負担も大きかったです。さらに、操作には習熟も必要で、作業者の人員割り当てや衛生面など様々な課題がありました。

ろ過性等の満足は大前提ですが、作業性や全体の工程の中での最適化といった視点も持たれておりました。
弊社は、「MSフィルターというろ過機を通じて、部分最適ではなく全体最適を考え、顧客の負荷低減、価値向上に寄与していきたい」と考えており、「作業負担低減、省人化、作業標準化、省スペース、効率化」といった導入効果をご説明させて頂いておりますが、そうした中で、小林様の課題意識や目的と合致していると感じて頂き、興味を持って頂くことができました。

MSフィルターを検討

検討開始時点では既設機に沿ったろ過面積での提案でしたが、やり取りを重ねていく中で、弊社営業からは多少サイズを小さくした提案をさせて頂きました。

コストの問題もですが、清酒のろ過の場合、ろ過終了後に水押工程があり、ろ過機が大きくなるとその分水押量が多くなってしまうため、極力サイズを大きくしたくないという意図からでした。
小林様としては、ろ過機更新に際し、処理能力アップも望まれていたため、「本当に処理量が満足できるのかが気になっていましたが、助剤条件の変更も含め、テストを実施していく中で、問題が無いことが確認でき、『大丈夫、いけるな』と確信できました」と当時を振り返ります。

正直なところ、仕様を考えていく上で、トレードオフになってしまう特性も多々ありますが、同社の課題、目的を把握することで、より最適なものは何かを一緒に考えさせて頂き、現場テストやお打合せを重ねながら、お問合せから1年というスピードで納品、試運転実施、本格稼動へとつながりました。

MSフィルター導入後、効果

小林様
狙い通り省人化、作業負担低減、生産効率向上は実現できたと思います。従来は前日にろ過機組立て準備、当日午前中にろ過、午後から洗浄、片付けという作業スケジュールを2名で対応していたのですが、全ての作業を1人かつ半日で終えられるようになりました。
特に、担当にとっては2時間近く中腰で洗浄していたのが、ボタン一つで瞬時に逆洗、洗浄できるのは雲泥の差です。また、万が一ろ過中に目詰まりが起きても、容易にやり直し、再開することが可能になったのは精神的にも助かっています。
従来設備ですと、目詰まりが起きても、やり直しのことを考えると、祈るしかありませんでした(笑)。
あとは、MSフィルター導入により前後工程の見直しも行え、火入れまでの時間の短縮が図れたことで、製造側の意図しない酒質の変化をクリアすることができ、品質へも寄与していると言えるでしょう。
そうした直接的な導入効果もですが、個人的には、間接的な効果というか、仕様打ち合わせやテストを通じて、ろ過の本質的な部分を理解できたのは大きいです。
それまでは習慣的に行われている作業を疑問も持たずに行っていましたが、助剤条件やろ過条件について打合せやテストを通じ、学ぶことができた結果、その後のさらなる改善にもつながったと思います。

当然、処理能力、清澄性などは問題なく、また、ろ過助剤条件を変更しましたが、官能評価の問題もクリアしております。その上で、当初の狙い通りの効果を実感頂けたのに加え、副次的な効果についてもご評価頂くことができました。

写真:醸造所で稼働するMSフィルター

火入れ機の検討

MSフィルター導入の約1年後、同社では火入れ機の更新検討が経営で上がり、弊社にもお声掛けして頂くことができました。

 正直なところ、弊社としては火入れ機の対応実績はありませんでしたが、MSフィルターの流量コントロールの技術を信用してくださってのことでした。

 期待に応えるべく、急冷機能の追加など仕様面や操作イメージなどの要望を伺い、仕様検討を進めていく中で、生産効率や作業性を高めるため、また、弊社ならではの差別化点として、「MSフィルターとの直結・協調運転」を提案させて頂きました。

小林様
協調運転によるメリットは仮説でしかありませんでしたが、社内でも同意する者も多く、反応が良かったです。

とのことで、最終的にはそれが決め手となり、受注につながりました。

火入れ機導入後、効果

仕様確定にも、試運転調整でも当然ろ過機以上に苦労もありましたが、火入れ後の急冷機能と、MSフィルターとの直結・協調運転は想像以上のご評価を頂くことができました。

小林様
それまで、ろ過が終わったら1日の作業が終了となり、火入れは翌日に行っていました。協調運転によって、1日で同時にろ過と火入れが出来るようになり、生産効率が大きく向上しただけでなく、生酒期間が短くなったことで品質向上・安定化につながりました。協調運転のメリットは大きいです。
ただ、正直なところ急冷に関しては積算品温が不十分になってしまうのでは?という不安もありました。
実際にサンプルを第三者機関で分析してもらい、酵素の失活もクリア出来ているという結果をみたときは本当にほっとしました。 現在まで問題なく使用できています。

写真:醸造所で稼働する火入れ機

図:黒龍酒造で導入したMSフィルターの構成図

黒龍酒造株式会社
【本社】
福井県吉田郡永平寺町松岡春日1-38
【兼定島 酒造りの里】
福井県吉田郡永平寺町松岡兼定島11-58

創業:1804年(文化元年)
従業員:52名(2021年4月時点)
事業内容:日本酒「無二」「黒龍」「九頭龍」の製造、販売

https://www.kokuryu.co.jp/
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サンプルテスト

当社では、正確なお見積もりやろ過の条件出しのため、ろ過サンプルを送付いただき、ろ過テストをおこなっております。

デモンストレーション

当社スタッフがデモ機を用いて、ろ過のデモンストレーションをおこないます。実機を確認いただくことで、ろ過機の特徴を把握いただきます。

デモ機貸し出し

デモ機のお客様への貸し出しをおこなっております。実際にお使いいただくことで、本機の特徴である逆洗性を体感することが可能です。

納入までのフロー例

お問い合わせから、試運転・引き渡しまで、営業及び技術スタッフが一貫してサポートを行います。

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